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201409.22
不動産競売物件の売却基準価額は、平均してみると市価の4~5割程度は安く設定されています。この安さが競売物件の魅力であると同時に、安い理由がわからないため、購入に不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、競売物件の評価にあたっては、不動産鑑定士が正当な判断をくだしています。競売物件が格安に評価されているのにはきちんとした理由があるのです。
まずは、売却基準価額について定める民事執行法60条を参照してみましょう。
第60条
1 執行裁判所は、評価人の評価に基づいて、不動産の売却の額の基準となるべき価額(以下「売却基準価額」という。)を定めなければならない。
2 執行裁判所は、必要があると認めるときは、売却基準価額を変更することができる。
3 買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない。
この法律に基づき、目的不動産の評価を不動産鑑定士が行います。鑑定の結果、評価価格と算出過程を記載した評価書を裁判所に提出し、裁判所はその書類に基づいて売却基準価額を決定します。
ちなみにこの評価価格は積算価格と収益価格を算出し両者を勘案して算出されます。
さて、競売による不動産の売却は、一般市場における流通不動産の売買とは異なる事情があります。一般的な流通不動産の購入に際しては、売主と不動産会社が物件の引渡しや隠れた瑕疵の保証など、買主の便宜をはかります。これに対して競売物件は通常の不動産売買で認められている買主の権利が買受人に適用されません。
このハンディを埋め、目的不動産に市場競争力を担保するために「競売市場修正」が行われ、評価額からおよそ3割が減額されます。また、目的不動産が競売で売却されるという特殊性によって不動産価値が低下することも考慮される場合があるようです。
前述の通り、不動産鑑定士は積算価格と収益価格から評価価格を算出しておりますが、特に積算価格は土地の評価には公示価格を利用し、建物の評価は単純に経年減価しておりますので、特にマンションの場合は市価とは乖離しており、昨今では市価の7~8割ほどになります。更にこれに競売市場修正で3割減価しているのが売却基準価額ですので、おのずと市価の4~5割が売却基準価額となるのです。
民事執行法60条第3項を見ると、「買受けの申出の額は、売却基準価額からその十分の二に相当する額を控除した価額(以下「買受可能価額」という。)以上でなければならない」と記されています。つまり、実際の買受け申出(入札)に際しては、売却基準価額の8割以上の金額であれば入札が可能ということです。
市価からおよそ4~5割減額された売却基準価額から、さらに2割(※)低い金額で入札が行えるということは、もしも買受可能価額ギリギリで落札できた場合、目的不動産は市価の50%×80%=40%程度、つまり半値以下で購入できるということになります。
※買受可能価額は売却基準価額の8割と決められています
実際には、不動産価値が高いと見込まれる物件に関しては、なかなか買受可能価額ギリギリで落札することは困難かもしれません。2014年現在の1都3県落札価格データによると、売却基準価額との平均乖離倍率は1.5~1.7倍で推移しています。とはいえ、物件の人気度や競争相手次第では、市価よりもかなり格安に目的不動産を落札することはまだまだ可能なようです。
状況を見極め、適切な入札額を決定できるかどうかが競売を活用する決め手といえるかもしれません。
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①納付済の保証金の返還が受けられません。
②入札した当該同一物件が再び期間入...
はい、マンション管理組合から請求を受ければ買受人が負担することになります。
区分所有法第8条により、管理費...