201511.07
民事執行法【第80条】<代金不納付の効果>についての解説
【第80条】
① 買受人が代金を納付しないときは、売却許可決定は、その効力を失う。この場合においては、買受人は、第六十六条の規定により提供した保証の返還を請求することができない。
② 前項前段の場合において、次順位買受けの申出があるときは、執行裁判所は、その申出について売却の許可又は不許可の決定をしなければならない。
以下、解説です。
本条の趣旨
売却許可決定後に買受人が代金納付時までに残代金を納付しなかった場合、売却許可決定は失効し、買受人としての権利義務は全て消滅します。また、代金を納付しなかった買受人は、その制裁としてすでに納付してある保証金の返還請求権は喪失します。
上記の場合において、次順位買受けの申出(67条)があるときは、執行裁判所は、この申出について売却の許可または不許可の決定をすることが義務付けられています。
次順位買受けの申出がない場合
次順位買受けの申出がない場合またはこの申出について売却不許可決定が確定したときは、執行裁判所は、職権で再度の売却を実施します。
再売却について
買受人の代金不納付によって売却許可決定が失効した場合に職権で行われる同一不動産についての再売却ついての特別の規定は存在しません。
もっとも、代金を納付しなかった買受人は、再売却の手続において最高価買受申出人その代理人またはその背後者になると、売却不許可事由となります(71条4号ロ)。いわばこれも、代金を納付しなかった買受人へのペナルティです。
民事執行法条文解説
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